あと1週間したら、今年も冬どりタマネギにチャレンジします。
栽培法について詳しく書かれた資料は殆どなく自分で考えながら挑戦しています。
試行の結果を見るのも楽しみのひとつです。
どんな事を考えているのか…勘違いもあるとは思いますが一部をご紹介します。
冬どりタマネギ研究ノート Part2
11月~12月にかけて収穫する作型の冬どりタマネギについて、
玉肥大のメカニズムをより明確にすることで、確実に収穫できる作型を研究する。
<これまでにわかっている事>
1.結球開始すると葉はあまり育たなくなる
2.収穫時の玉サイズは葉数・葉の大きさで決まる
3.結球開始は日長感応性で決まる
4.葉4枚から日長感応性が有効となる
<タマネギの肥大開始点>
タマネギは、りん葉ができ始め、その1枚1枚が厚みを増すことで
玉が肥大し始める。
その時期は、平均気温と日長時間によって決まっている。
品種 肥大に必要な気温 限界日長
極早生種 15℃以下 11~11.5時間以上
中晩成種 15~20℃ 13.5時間以上
晩成種 20~25℃ 14.25時間
○冬どりタマネギは極早生種であるため、
15℃以下で11時間以上の日長で肥大開始する。
これを、名古屋市のデータでグラフにすると次のようになる。
青い線が名古屋市の日長時間、赤い線が名古屋市の平均気温
青く塗った箇所が肥大開始可能な日長時間エリア
赤く塗った箇所が肥大開始可能な平均気温エリア
(グラフからわかったこと)
1.日長時間から見ると、肥大開始は10月3週目までである。
2.平均気温から見ると、肥大開始は10月4週目以降である。
3.つまり、重なるエリアが無いため肥大しない。
☆これでは、冬どりは作れないということになってしまう。
しかし、現実に作れていた。それは何故か?
<2013年度実績から推測>
2013年10月19日には、既に玉肥大して直径7cmに到達し、
初収穫を果たしている。
日長はクリアしているが、平均気温が実際にどうだったのか・・・?
気象庁のデータを見る限りでは、15℃以下となったのは10月末頃である。
タイミング的には9月末頃に平均気温が20℃まで下がっている時がある。
①シャルムの場合では、肥大に必要な平均気温は20℃以下と考えて
良いのではないだろうか。
また、畑の環境面から見ると、栽培地は周りを背の高い木々に囲まれた
環境なので、
②日蔭による地温低下も好影響していた可能性も考えられる。
①②を考慮して、シャルムという品種限定で考えた場合での肥大開始点を
考えると、
青く塗った箇所と赤く塗った箇所が重なっている期間。
10月2週目~4週目が肥大開始点であると考えて良さそうである。
この時期までに葉数4枚以上に達していなければ肥大は翌年の春となる。
また、葉数4~5枚程度の場合では肥大しても小玉で終えてしまう。
逆に10月2週までに葉数7枚あれば、大玉が期待できるということになる。
(あくまでも目安に過ぎず、その年その年の気候で時期はズレてしまう)
更に正確に、肥大時期を割り出してみるために日別平均気温を見てみると、
以下は、2009年から2012年までの平均気温から導き出した
肥大開始時期である。
2009年(9月15日)
2010年(9月24日)
2011年(9月24日)
2012年(9月23日)
時期のズレは思ったほどは無く、おおよそ9月下旬と認識して問題ないと
考える。
<まとめ>
シャルムを冬どりするためには、
「平均気温が20℃以下となるまでに、葉数6~7枚の葉姿」に
仕上げる必要がある。
(名古屋では、9月下旬に葉数6~7枚の葉姿を作れば冬どり可能)
条件は、上記1点のみで、それを実現させる方法論は色々あると考える。
<補足>
名古屋地域での植え付け時期は、8月上旬~中旬が良いと思われる。
これより遅くなると、20℃以下となるまでに目的の葉数が得られない
確率が高まるからだ。しかし、タマネギは暑さに弱い。そのため、
温度を下げる工夫が必要不可欠と考える。
ちなみに保温は生育の邪魔にしかならないと考えているから行わない。